特別講師:ジョージ・クルツシステム理論のプレゼンテーションResources

システム理論の視点からフェルデンクライスメソッドをとらえる 特別講師ジョージ・クルツ

FPTP Tokyo3の第5セグメント(8/19〜23)会期中に、特別講師ジョージ・クルツさん指導によるシステム理論のプレゼンテーションが行われました。

システム理論、複雑系、カオス理論、ダイナミックシステムズ理論、サイバネティックス、グレゴリー・ベイトソン、エスター・テーレン、等々、、。フェルデンクライスメソッドを勉強している者にとっては、しばしば遭遇する名称、人名です。その深い内容についてトレーニングではあまり学びませんが、FMが何であるかを理解する上で、重要な意味を持つコンセプトでしょう。

社会や、自然、経済、そして人間そのものは様々な要素が常に複雑につながり合い、影響し合っている複雑系であり、そこに起こっていることは、<原因>→<結果>の単純な関係性では捉えることができない「非線形的」なもの。混沌でもあるその環境のなかで、感受性や意図がどのように働いて、「予期出来ない」やり方で全体に一定の方向性を与えるか、、、。

などと、単純に書いてみましたが(失礼!)、
システム理論を理解することで、フェルデンクライスはとても分かり易くなる、という直感を感じていたのは私だけではないと思います。そういうわけで、今回のプレゼンには大いに期待していました。

ジョージのプレゼンはほぼ一日がかりでした。
その内容のうち、システムゲームを紹介します。(他に、レクチャー、ATM、ディスカッションがありました。)

システム理論のプレゼンテーションの様子

全員が円形になります。
各自が心の中で、メンバーの中からAとBを選びます。
そして、全員が一斉に動き出すのですが、その際のルールは「できるだけAに近づき、それと同時にできるだけBから遠ざかる」というものです。

グループ全体が教室のなかで複雑に動き回り、まさしく混沌とした状況になります。そのうちに一瞬、渦巻き状に全体が動くような時があったり、広がって行ったり、、、。

次に、円形になってAとBを選び、今度は「AおよびBから等距離のところにいる」というルールで動きます。
今度は先ほどとはまったく違う様相になり、全体の動きの流れも変化するのが面白い。

そして、「AとBをつなぐ線上にはいる」が次のルールです。
あっという間に、全員が中心に集まり、団子状態になってしまいます。このパターンは、少人数でも繰り返し、動きが明確であることを観察できました。

システム理論のプレゼンテーションの様子

全部終わってから、円形に座り、各自が選んだ(相手には知られていない)Aに向かって次々にヒモを伸ばしていきます。ひとりひとりが複雑にウェブ(クモの巣)状になったヒモでつながりました。全員がつながって、そのまま教室の外に出て行くこともできるし、未来に向かって行くこともできます、、(笑)。

というような具合で、自分自身の内にあるダイナミズムと人間同士のつながり、それがどのように外から見えるか、を体験できた面白いゲームでした。

この興味深いプレゼンテーションは、いずれ記録をまとめて公開できるようにしたいと考えています。

私感ですが、昔、ダンサーコレオグラファーとして実験的なダンスパフォーマンスを繰り返していた頃の自分の作品のひとつと、このシステムゲームが劇的に一致して驚きました。
その頃、5〜6人のグループで、ひたすらダンサー達が団子状態で転がり続けるというパフォーマンスをやっていたのですが、当時は、なぜ自分にとってそれが面白いのか、次に何をすれば良いのかが分からなかったのです。
今になってようやく分かった!次の展開は、「距離」だったんですね。

(かさみ康子)

システム理論のプレゼンテーションの様子